和型のお墓と洋型のお墓、仏教やキリスト教、宗旨宗派とかは関係あるの?

先週の金曜日、12月3日に奈良市営墓地の使用者募集について、抽選があったはずで、希望の区画に当たられた方はおめでとうございます。

実際に巻石や墓石をお建てになる際は、是非われわれにお手伝いさせていただけますと、ありがたく存じます。

さて、今回ちょっとご解説しようと思うのは、お墓の形についてです。

和型とか洋型、あるいはデザイン型なんていう呼ばれ方をする墓石もありますが、どんなお墓を建てるかについてのルールだとか、この宗教ではこの形にしなければならない、みたいなことはあるのでしょうか。

結構気になさるかたもおられるんじゃないかと想像されます。

いつものように結論から申し上げますと、お墓の形に特別なルールは、基本的にはありません。

たとえば法律で決まっていたりするものではありません。

仏教の信者なら和型石塔でないとダメとか、キリスト教の信者なら必ず洋型石塔とか、そういったことはないのです。

というかそもそも和型石塔、洋型石塔とはどんなものか、とそこからご説明するのがよいかと思います。

次の写真はご覧ください。

まずは和型石塔です。

どこの墓地に行っても見かけるであろう、「ザ・日本のお墓」ですね。

これも実は細かく言うといろいろな種類がありまして、写真に写っているのは和型の中でも神戸型と言います。

関西の地名を冠した和型石塔の型としては、他に京都型や大阪型があります。

供物台があったりなかったり、ディテールに違いがあります。

ですが、いわゆる日本の標準的なお墓の形としては、基本要素は共通しています。

奈良県の場合、「奈良型」というのはないので、この三つのいずれかをお見かけすることが多いですが、中でも神戸型が少し優勢かな、という印象はいたします。

で、大事なところは、地名を冠されていることでもわかるように、宗旨宗派による違いよりは地域的な違いの方が前に出ている、ということです。

浄土宗ならば大阪型で、日蓮宗なら京都型とか、そういう宗派的な区分があるわけではありません。

浄土真宗ではあまり五輪塔を建てない、という慣習はありますが、これも絶対的なルールというわけではないです。

大事なことなので大声で言いたいのですが、お墓の作り方は自由なのです。

次いで洋型墓石です。

洋型墓石と呼ばれる石塔は、和型が縦長な印象であるのと比較して、横長の印象になるものが多いです。

上の写真にあるような形は、オーソドックスなものですが、昨今ではいろいろデザインに工夫を凝らしたものが提案されておりますので、ディテールの違いは和型以上に多様です。

なぜ「洋型」という呼び名が定着したのかは難しいところですが、出始めの頃には、従来の和型ではない欧風のモダンなお墓としてプッシュされていたのだろうと想像されます。

何を指して「洋型」という定義があるわけではないので、「洋型」という呼び名は大雑把な総称と考えておいていいかと思います。

で、この洋型墓石ですが、洋型という名称も含めて、キリスト教のお墓かと考えておられる方もいるのではないかと思いますが、特別にそういうわけではなく、宗旨宗派問わず建てていただいてます。

昨今ですと、従来の和型墓石離れとでも言うべき現象がありまして、寺墓地や古くからの共同墓地でも、洋型墓石が少しずつ増えつつあります。

洋型の特徴は、デザインの幅が広いことだけでなく、彫り入れる文字や模様も多様に使えるというところでしょう。

和型墓石の正面に「夢」一文字とか「ありがとう」と彫ると、なんとなく落ち着かない印象を受けるでしょうが、洋型ですとそういった彫刻文字でもうまく収まります。

お墓を家族の供養の場というにとどまらず、個人の思いやメッセージを伝えるものとして理解する、ということが最近増えてきていると思いますが、そういった思いを伝える媒体としては洋型の方が選んでいただきやすい、という事情があるのでしょう。

ちなみに、キリスト教の方は例外なく洋型墓石にする、と思われるかもしれませんが、これもその限りにあらず、和型墓石に十字架を刻む、というものもあります。

お墓の自由を象徴しているようで、私は好きです。

なお、どのようなお墓を作るのも基本的には自由なのですが、墓地にはそれぞれの使用規定があり、石塔の高さなど、一定の制限が設けられている場合は少なくありません。

その点だけご留意ください。

奈良市営墓地には、また新たにどのようなお墓が立つことになるのでしょうか。

ご相談や御見積だけでもいつでも受け付けております。

遠慮なくご連絡ください。

お待ちしております。